大阪高等裁判所 昭和25年(う)2875号 判決
弁護人は刑事訴訟規則第百条第二項によると差押状を執行するときは検察事務官司法警察職員又は裁判所書記を立会わせ且つ立会つた者の氏名を調書に記載しなければならないのに本件については司法警察職員が立会つた旨記載されていないから本件差押調書は無効であると主張するけれども刑事訴訟規則第百条第二項は裁判所発布の差押状を執行する場合の規定であり同規則第四十三条は差押状執行調書の記載要件を定めたものである。而して右差押状は裁判所が公判廷外における差押をする場合に発せられ(刑事訴訟法第百六条)この差押状は検察官の指揮によつて検察事務官又は司法警察職員がこれを執行し例外として裁判所書記官又は司法警察職員に対し裁判所が直接その執行を命ずることができることになつている(同法第百八条)。刑事訴訟規則第百条第二項はかかる場合において特に裁判所の発布した差押状が公正に執行されることを担保するために設けられたものである。従つて捜査のため司法警察職員が裁判所の令状を得て行う司法警察職員独自の差押については右規則は適用せられない。刑事訴訟法第二百二十二条は裁判所の差押に関する多数の条文を準用する旨規定しているに拘らず刑事訴訟規則の該当部分は同規則第百条第二項を準用する規定を置いていないことから考えても右規則が令状による差押に適用のないことが明らかである。令状による差押はいわゆる裁判所の差押許可状による差押であつて刑事訴訟法第二百十八条の明定するところであり、犯罪捜査の目的をもつて行われるものである。同法第二百二十二条によれば令状による差押には裁判所の差押状の執行に関する同法第百十四条が準用せられ同条によれば人の住居で差押をする場合は住居主若しくは看守者又はこれらの者に代るべき者をこれに立会わせ、これができないときは隣人又は地方公共団体の職員を立会わせなければならないと規定されているのである。本件差押は被疑者人見信三の住居において行われ且つ住居主たる同人の立会の下に行われたのであること差押調書に明記されているところである。所論の法条は全て本件に適用がないからこれを前提とする論旨は採用できない。
(註。本件は量刑不当により破棄自判)